毎月決算型
かの有名なグロソブ・毎月決算型をとりあげます。この商品は行動ファイナンスを応用し、無知な投資家を食い物にしている代表的な投信だと揶揄されますが、実際のところはどうなのか検証してみたいと思います。
- 運用方針
世界主要先進国のソブリン債券に分散投資し、リスク分散を図ったうえで、長期的に安定した収益の確保と信託財産の成長を目指します。シティグループ世界国債インデックスをベンチマークとして運用を行います。
- 買付手数料:0-1.575%
- 信託報酬:1.3167%
- 信託財産留保額:0.50%
検証条件は買付手数料1.575%を用いて行い、1997/12に100万円分(1,000,000口)購入し、現在まで保有し続けたとします。分配金は普通分配金と特別分配金に分け、普通分配金のときのみ課税するものとします。
- 分配金受取コース
購入価格1,000,000円(1,000,000口)
買付手数料:15,750円
時価評価額:811,200円(1,000,000口)
税引き後分配金累計:471,140円
時価評価額+分配金-購入価格-買付手数料:266,590円
運用利回り2.96%(年利)
- 分配金再投資コース
購入価格1,000,000円(1,000,000口)
買付手数料:15,750円
時価評価額:1,448,818円(1,786,017口)
時価評価額-購入価格-買付手数料:433,068円
運用利回り4.81%(年利)
- シティグループ世界国債インデックス
運用利回り5.6%(年利)
パッシブの指標であるシティグループ世界国債インデックスの運用利回りは5.6%(年利)です。一方、グロソブ・分配金なしのパフォーマンスは5.1%(年利)ですので、パッシブ運用以下のパフォーマンスしか得られていないことがわかります。
実際に投資家が購入する場合、分配金受け取りコースか分配金再投資コースを選ぶことになりますが、前者の場合でパフォーマンスは2.96%(年利)、後者の場合で年利4.81%です。純粋にお金を増やすことを考えた場合、分配金受け取りコースは論外ですが、分配金再投資コースを選択しても、毎月のように決算されますと税金が無視できなくなり、パフォーマンスは著しく低下します。
結果的に利益が出ているから良いのでは?と仰る方がいるかもしれませんが、シティグループ世界国債インデックスとほぼ同等のリスクを背負っていながら年利で0.8%程度の差が出ますので(10年では8%!もの差が出ます)、リスク・リターンの原則から言いますと、グロソブは割の合わない金融商品と言えると思います。
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以上の検証から、グロソブ・毎月決算型(分配金受け取りコース・再投資コース問わず)は買うに値しない商品と結論付けることが出来ます。週間ダイヤモンドの記事のように、メッタ切りにされても仕方ありませんね。もしもシティグループ世界国債インデックスを指標とする金融商品の購入を考えるなら、
DCインデックス海外債券(ヘッジなし)
(信託報酬:0.7035%)か
中央三井外国債券インデックスファンド
(信託報酬:0.73%)を選択することをオススメします。